ストーカーは「つきまとい」「監視」「性的羞恥心の侵害」などを繰り返し行う事で身の危険を感じさせる行為をする人となりますが、相手の行動がエスカレートすると命をも脅かす危険な事件に発展するケースも後を絶ちません。
もしあなたがストーカー被害に遭ってしまったら一人で対処せず警察や探偵など信頼できる機関に相談しましょう。
本記事では、ストーカーについての知識や相談機関、ストーカー対処法などご紹介します。
ストーカー規制法
はじめに、ストーカーの対処法として知識を少し身につけましょう。「ストーカー規制法」についてご説明します。
ストーカー規制法は平成12年5月に成立され、同年11月に施行された法律です。
その後、現在に至るまで何度か規制対象など改正が行われています。
ストーカー規制法の対象になる9つの行為をすると1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科されます。
また、警察から禁止命令等があったにもかかわらず違反してストーカー行為をした場合は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金が科されます。
ストーカー規制法の対象となる行為
ストーカー規制法の対象となる行為は、改めて確認すると細かく設定されています。
加害者となるストーカーから少しでも恐怖や不安を覚える行為をされたら、迷わず警察や探偵、興信所などに相談しましょう。
- つきまとい・待ち伏せ・押し掛け・うろつき等
- 監視していると告げる行為
- 面会や交際の要求
- 乱暴な言動
- 無言電話、連続した電話・ファクシミリ・電子メール・SNS・文書等
- 汚物等の送付
- 名誉を傷つける
- 性的しゅう恥心の侵害
- GPS機器等を用いた位置情報の無承諾取得等
ストーカー規制法をもう少し深堀すると、「つきまとい」が全てストーカー規制法の対象ではないようです。ストーカー規制法では、恋愛感情やその感情から発展する怨恨の感情を充足される目的で上述の行為をする人を処罰します。したがって、「恋愛」と無関係な目的での「つきまとい」はストーカー規制法の対象外のようなのです。
恋愛感情がポイントで、それ以外の恋愛とは無関係な嫌がらせやつきまといだったら処罰されないのか?と暗澹たる気持ちになってしまいますが、ストーカー規制法ではなく、例えば、「迷惑防止条例違反」などで処罰される可能性があります。したがって、恋愛感情の有無で警察や探偵などに相談する事をあきらめないでください。
【参考】ストーカー規制法-警視庁
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/higai/dv/kiseho.html
「つきまとい等又は位置情報無承諾取得等」を繰り返すストーカー行為者に警告を与えたり、悪質な場合は逮捕することで被害を受けている方を守る法律です。
GPS機器等を用いた位置情報の無承諾取得等
2021年8月に改正ストーカー規制法が施行された際に新たに追加された行為です。
あなたの所持するGPS機器等の位置情報を盗み見たり取得する行為や、
あなたの所持するスマートフォンや自動車等にGPS機器等を取り付け位置情報を受信する行為が該当します。
無言電話、連続した電話・ファクシミリ・電子メール・SNS・文書等
2021年8月に改正ストーカー規制法が施行された際に、新たに「文書」を連続して送る行為も対象として追加されました。
ストーカーの相談先
ストーカー被害に遭った際の対処法としてSOSを出す事が先決です。ストーカーの相談先をいくつかご紹介します。最寄りの警察署や電話で相談できる機関もあるので一人で悩まずに相談してみましょう。
最寄りの警察署
被害者、相手のストーカーに関する情報やトラブルの内容について証拠や記録を持参し相談しましょう。
警視庁総合相談センター
電話:#9110 又は 電話:03-3501-0110(代表)
危険が迫っているときは緊急ダイヤル「110番」
法務省「女性の人権ホットライン」
電話:0570-070-810
https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken108.html
探偵
探偵に調査依頼すると、ストーカーの身元特定や警察に提供する証拠の収集を行なってくれる他、相談内容から適切な対応・対策をアドバイスしてくれる場合もあります。調査料金はかかりますが、プロに依頼する事で心強い味方を得たような安心感があります。
ストーカーの相談は増加中
警視庁によるとストーカー行為等に係る相談件数は、令和5年で1444件と前年から237件増加しています。また、令和5年における相談者の性別は77.6%が女性であり、相談者の年齢は20歳代が556人、30歳代が305人と、この層だけで全体の60%を占めています。
やはりというべきか、若い女性によるストーカー相談が大半を占めています。相手の行動がエスカレートしてからでは遅い場合もあるので、危険を感じたら早めに相談しましょう。
令和元年 | 令和2年 | 令和3年 | 令和4年 | 令和5年 | |
ストーカー相談件数 | 1262件 | 1232件 | 1102件 | 1207件 | 1444件 |
会社や学校でのストーカー被害
会社や学校という毎日顔を合わせる場所でストーカー被害に遭ってしまう事があります。多くの時間を過ごす場所でストーカー被害に遭うと、どのような危険が考えられるのでしょうか。
相手との距離感が職場や学校となると自然に近くなってしまう事から、気が付くと視線を感じる、いつもそばにいる、連絡先を教えていないのに連絡が来る、自宅までついてくる、または自宅で待ち伏せされるなどが会社や学校という場所で受けるストーカー被害としてよく聞くケースです。また、個人情報が知らないうちに相手に知られてしまう可能性が高いシーンとも言えます。
もし社内ストーカーに悩まされたら、まずは上司や雇用主に相談してみましょう。上司や雇用主が相談してもすぐに対処してくれない場合には、警察や探偵、弁護士などの専門家に相談をする機関を広げていくと良いでしょう。
ストーカー対策・解決における探偵の役割
ストーカーの対策や解決に探偵はどういった役割を担うのかもう少し詳細にご説明します。
探偵は、依頼者から調査依頼を受けると、上述した通り、ストーカーの身元特定や証拠の収集を行います。
身の危険を感じる状況であれば、直ちに警察に相談するのはもちろんですが、
確実な証拠がなければ「証拠不十分」と判断され被害届が受理されない可能性もあります。
そうならない為にも、警察に詳しく被害の記録や証拠を提供し確実に対応してもらいましょう。
しかし、探偵は何でもできるわけではない事も覚えておきましょう。
ストーカーに対し、接触禁止などを言い渡すなど直接ストーカー行為を止めさせるような事はできません。
その点はやはり、警察や法律に委ねられる為、探偵の仕事はストーカー行為を規制するための前段階である証拠や身元特定が主となる事を覚えておきましょう。
探偵と警察の違い
項目 | 探偵業 | 警察 |
---|---|---|
役割 | 証拠集め、ストーカーの身元特定 | 捜査、警告、逮捕 |
対応内容 | ストーカー行為の証拠収集、犯人の特定、盗聴器・盗撮カメラの発見 | 被害届の受理、パトロール強化、警告・禁止命令の発令、逮捕 |
直接の介入 | できない | できる |
法的権限 | × | 〇 |
対応の柔軟性 | 高い | 法律に基づいた対応 |
費用 | 有料 | 無料 |
アドバイス | 証拠集めの方法や注意点などのアドバイス | 被害拡大を防ぐアドバイス(助言や対処法、相談機関など) |
証拠不十分だとどうなる?
犯人だと考えられる人が犯人である証拠など、犯罪の成立を認定するに至る証拠が不十分なときは「証拠不十分」として警察が対処してくれない事が大半です。
実被害が起きるかもしれないという段階では率先して捜査をしてくれることはあまりないと考え、自分でできる限り証拠を集めておく必要があります。
探偵によるストーカー調査方法
ストーカーへの尾行や張り込み、監視カメラの設置などでストーカー行為の証拠を収集します。
場合によっては被害者宅に盗聴器や盗撮カメラが仕掛けられていないかのチェックも必要になってくるでしょう。
被害者本人が出来ない事や思いつかない手法だとしても、プロの探偵に依頼する事で確実に証拠を収集してくれる可能性が高まります。
探偵はストーカー行為とはならないのか?
探偵に調査を依頼すると、尾行や張り込みなどでストーカー行為の証拠を収集しますが、果たして、探偵はストーカー行為に該当しないのか?と、疑問が出てくるかもしれません。しかし、前述したとおり、ストーカーは「恋愛感情」の有無で判断されます。したがって、探偵の調査は「恋愛感情」を持った調査とはならないので、ストーカーとはなりません。
依頼する費用の相場は?
探偵に調査を依頼する場合は有料料金となりますが、ストーカー対策で調査を依頼した場合の費用相場は5万~50万円の間が相場のようです。
調査内容や調査にかかる日数によっても料金が変わってきますが、
各社、調査に参加する人数や料金体系にも違いがあるので複数の探偵事務所に見積りをもらい、信頼できる探偵社に依頼するようにしましょう。
依頼時に予算を設定し、その範囲内で調査できる事を確認するのもお勧めです。
まとめ
本記事では、ストーカーについての知識や対処法などを解説してきました。
ストーカーは「つきまとい」や「面会・交際の要求」などを行う行為で、その行為が度を超すと、被害者にしてみれば恐怖を感じる事でしょう。もし、あなたがストーカー被害に遭ってしまったら、迷わず警察や探偵、相談機関に連絡してください。
ストーカー規制法の対象は「恋愛感情」の有無がポイントとなってしまいますが、ストーカー規制法の対象外だったとしても他の条例で処罰できる可能性があります。また、警察に被害届を出す際には、集められるだけ証拠を準備しておく事をお勧めいたします。証拠集めは自分だけで集めるのは限界があるかもしれません。そんな時には探偵に調査を依頼するのも一つです。
何かあってからでは取り返しのつかない事にもなりかねません。今の状況に対し最善の対応ができるよう、ストーカーの知識や対処法を知っておきましょう。