ストーカー警告や禁止命令について知っておくべきこと

ストーカー警告や禁止命令について知っておくべきこと

ストーカーは、「つきまとい」などの行為をして相手に身の危険を感じさせるような行動をとることとなりますが、ストーカー規制法によりストーカー行為と認められるのは、
「恋愛感情やその感情から発展する怨恨の感情を充足される目的で上述の行為をする人」とされています。

ストーカー被害に悩まされている方、「ストーカー警告」を相手にする事でそのストーカー行為が止まる可能性があります。
「警告」について知っておくべきことは何かという事から、突然警告を受けて驚いているという方も、本記事がお役に立てばうれしいです。

ストーカー事案の状況(令和5年)

はじめに、直近のストーカー事案の状況を確認しましょう。

ストーカーの相談は増えています。

警視庁によると、
令和5年のストーカー行為等に係る相談件数は1,444件で、前年から237件(19.6パーセント)増加しました。
また、同年中のストーカー規制法による警告は418件で、前年から86件(17.1パーセント)減少、
禁止命令は260件で前年から96件(58.5パーセント)増加しました。

ストーカー警告とは?警告を受けるとどうなる?

「ストーカー警告」は、被害者がストーカー被害を警察に相談し、その行為がストーカー行為として認められると警察がストーカーに対し行為をやめるように「警告」をする手続きとなります。

実は、この「警告」は、法的拘束力はなく、前歴にもなりません。
しかし、警告を受けてもなお、従わない場合は「禁止命令」が出される可能性があり、禁止命令にも違反すると罰則が科せられ、更に状況が悪くなると逮捕に発展する可能性も考えられます。

したがって、もし自分が警告を受けたとしたら直ちにストーカー行為を止める事をおすすめします。
また、ストーカー行為に身に覚えがなく警告を受けてしまったという時には、弁護士など専門家に相談しましょう。

また、ストーカー警告をすると、「警告をする事で相手が逆上したら怖い」と考えるかもしれません。
しかし、被害者が勇気を持って動かなければ警察は事件や事故になるまで知る事ができません。
警告を受けると多くの場合、ストーカー行為を止めると言われています。

この事を踏まえ、警察に相談する際に、身の危険を感じているがどういう対応を取るべきかなど具体的に警察に相談する事で安心して過ごせるようになります。

ストーカー規制法について

ストーカーに纏わる法律として平成12年5月に成立され、同年11月に施行された「ストーカー規制法」があります。

正式名称「ストーカー行為等の規制等に関する法律」というこの法律は、平成11年に埼玉県桶川市で起きた女子大学生殺害事件がきっかけとなり制定された法律です。
この事件は、女子大生が元交際相手に殺害されるという事件ですが、事件前に何度も犯人のストーカー行為を警察に相談していたにも関わらず、無責任な対応をされ、結果重大事件となってしまいました。

この反省を機にストーカー規制法が制定されました。

ストーカー規制法の対象となる行為をすると、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科せられますが、禁止命令に違反すると6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

ストーカー規制法にによる警告と禁止命令

ストーカー規制法により警察は行為を行う者に対し警告(ストーカー規制法第4条1項)をする事ができます。
前述したとおり、「警告」には法的拘束力はありません
しかし、警察は「警告」をする事で、警告した対象者の動向を注視するようになります。

警告よりももっと重い行為と認められる際には、「禁止命令」を出します。
禁止命令は、今後も更にストーカー行為が行われる危険性がある場合に出されますが、禁止命令には法的拘束力があり、罰則があります。
悪質と判断される場合は逮捕される可能性もあるでしょう。

また、禁止命令の効力は原則1年間となっています。

往々にして、初めにまず「警告」がされ、その後対象者がストーカー行為を止めない場合に「禁止命令」に発展するケースが多いようです。
しかし、法律上では警告をすることなく「禁止命令」が出される事も可能となっています。

禁止命令は突然出されるものではありません。
というのも、禁止命令が出される際には公安委員会が禁止命令の対象者の意見を聞く「聴聞」というのが行われます。
※緊急性が高いと判断されると「聴聞」が行われない場合もある。

更に禁止命令の先には、逮捕や起訴、刑事裁判となる可能性もあるのでストーカー行為がどれほど重大な行為なのか、おわかりいただけたでしょうか。

警察への相談から「警告」までの流れ

警察への相談から警告までの流れ

さて、ストーカー行為を被害者が警察に相談し、その行為が認められると「警告」が行われますが、警告は、被害に遭っている人が申し出る事によりはじめて行われます。

その警告はストーカー行為をする相手に、警察署へ呼び出し文章で行われたり、電話にて口頭で行われます。

警察に相談する際に事前に用意しておきたい情報は、主に次の3点です。

  • 被害に遭っている人の情報
  • ストーカー行為を行っている人の情報
  • 具体的な被害内容

相手のストーカー行為を行っている人の情報について、氏名や住所などの詳細情報がわかるとスムーズですが、
どの相手からストーカー被害を受けているのか特定できていないという時には、探偵に調査を依頼する事も有効な手段です。

また、具体的な被害内容を警察に説明する際に証拠を持参すると良いのですが、証拠の収集に関しても探偵に依頼する事ができます。


警告を受けた相手は、多くの場合ストーカー行為をやめると言われています。
これは、ストーカー警告を受ける事により、自分の行いがストーカー行為に該当するという事を認識する為です。
更に、今後も継続して同様の行為を行う事で刑事罰のリスクが高まる事を認識します。

ストーカー警告を受けたら周囲にバレる?

警告を受けた段階では前科前歴にはなりません。
しかし、例えば、社内ストーカーなどの場合は、口止めしているわけではないので、会社側にバレる可能性は高いでしょう。

ストーカー警告が冤罪の場合

もし、ストーカー行為に思い当たるところがないにもかかわらず「警告」が出されてしまった時は、被害者と直接話をする事は避け、弁護士に相談しましょう。

被害者が思い違いをしている可能性もあれば、あなたが気づかない内にストーカー行為に該当する行動を取ってしまっている可能性もあります。

弁護士に相談し、客観的な意見を聞き、示談についてなど今後のアドバイスを受けましょう。

ストーカー警告や禁止命令についてのまとめ

ストーカー警告や禁止命令は、被害に遭っている人が警察に相談する事から始まります。
「警告」は法的拘束力はなくとも、多くの場合警告を受けるとストーカー行為を止めると言われていますので、ストーカー被害に遭っている人は一人で解決しようとせず、警察に相談しましょう。
被害には遭っているがストーカーを特定する事が出来ない時には探偵に調査を依頼する事が有効です。

また、もし思い当たる行動がないのに「ストーカー警告」を受けてしまった方は、当事者間で直接話をする事は避け、弁護士に相談する事が望ましいでしょう。
法的知識のある弁護士から客観的な視点でアドバイスを受ける事が解決への最善策です。

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