「探偵」という仕事をするには特別な資格がいるのかと気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
小説や映画などで、どんどん謎を解いていく「探偵」という職業に憧れてしまいますね。
そこで、探偵とはどういう仕事をするのか、探偵になる為に必要な能力やスキルはあるのか、探偵になる為の学校や必須資格などを、探偵のお仕事【資格やスキル編】として本記事でご紹介します。
目次
「探偵」という仕事
探偵は、依頼者から調査依頼を受け調査を行いますが、調査業務は浮気調査・不倫調査や失踪者の捜索、企業調査などが主な仕事となります。
また、警察は事件・事故を対応するのに対し、探偵は、警察が対応できない民事事件の調査を法律の範囲内で行う役割を担っています。
探偵に資格は必要?資格について知っておくべきこと
「探偵」になる為に必須の資格はあるのか、という疑問にお応えすると特に必須の資格なく探偵になれるようです。
探偵には国家資格はありません。しかし探偵のスキルを表す民間資格がいくつかあります。
「探偵業務認定試験」(一般社団法人日本調査業協会主催)
「探偵業務認定試験」は、探偵業務に従事する者の専門的知識と能力の向上を目的とした試験です。
この試験は、平成19年6月に施行された「探偵業の業務の適正化に関する法律」に基づいて実施されています。
試験の目的は、探偵業務の運営の適正化を図り、個人の権利利益の保護に資することです。
これにより、違法や不正行為の防止を啓発し、業界の健全化を目指しています。
「探偵調査士検定」(一般社団法人日本探偵業協会主催)
「探偵調査士検定」は、探偵業務に携わる調査員の資質や技術、能力の向上を図るための資格試験です。
この検定は、一般の方が安心して依頼できる環境を作ることを目的としています。
検定は、国籍や性別は問わず、各都道府県の公安委員会へ探偵業の届け出をした人を対象にしています。
また、「探偵調査士検定」は探偵業に従事した経験が5年以上あれば、筆記試験は免除となり技能試験のみで認定される優遇措置が取られる場合があります。
代表的な資格は上の2つの資格ですが、その他にも一般社団法人日本探偵業協会が主催する探偵事業者や管理職向けの「探偵業務管理者検定」という資格もあります。
このように探偵対象の民間資格はいくつかあります。もし、探偵のスキルを示す資格取得に興味があれば確認してみてください。
探偵が資格を取得するメリット
探偵になるには必須で取得しなければならない資格はないものの、上で紹介した資格を取得する事にいくつかメリットがあります。
信頼性の向上
資格を取得することで、探偵としての信頼性やスキルが証明され、依頼者に対する安心感を提供することができます。
スキルの証明
資格を持つことで、探偵として必要な知識や技術を持っていることが証明されます。
キャリアの向上
資格を取得することで、探偵としてのキャリアにプラスになり、より多くの仕事やクライアントを獲得するチャンスが増えます。
専門知識の習得
資格取得の過程で、探偵業に必要な法律や調査技術などの専門知識を学ぶことができます。
探偵になる為の学校はあるか
実は、専門的な技術や知識を学ぶための探偵学校があります。探偵の学校は、通学制と通信制の2つの形式があります。
学校の運営は、実際に探偵事務所を開設している場合が多い為、実際のプロの探偵からの授業が受けられる点がポイントです。学校では一般的に次のような内容を学ぶことができます。
- 尾行や張り込みの技術
- 証拠写真の撮り方
- 指紋の取り方
- 特殊な機材の使用方法
- 探偵業法や刑法の知識
- 調査報告書の書き方
探偵になる為には、必ずしも学校に通う必要はありません。また、学校に通う事で費用がかかりますが、独学で探偵の知識を身に着けるのは難しい場合があります。
何も知識も経験もない初心者の状態で探偵事務所に所属、または独立開業するのは心配だから事前に技術や知識を身に着けたいという方は、料金や卒業後の就職先、学習の内容など比較検討して探偵学校でスキルや知識を学ぶ事も視野に入れると良いかもしれません。
探偵になる方法と必要なスキル
探偵になる方法は、上述した探偵学校で学ぶ他、探偵事務所(探偵会社)、興信所に所属するか、公安委員会に探偵業の届出を行い自ら独立開業する方法があります。
独立開業に不安の場合は、探偵社のフランチャイズに加盟し、本部のブランド力を盾に営業するといった方法もあるので気になる探偵会社がフランチャイズの募集をしているか調べてみるのも良いかもしれません。
重要な探偵スキル
次に、探偵として実務を遂行するために持っておくべきスキルとして次のようなものがあります。
運転免許証
尾行などする時に車を使う場面は多いので運転免許証を取得しているか否かは重要です。車は尾行をする他、決定的証拠の撮影をする為に撮影機材を積みながらの移動に欠かせません。普通免許の取得は済ませておきましょう。
撮影機材を扱えるか
証拠を撮影するためのカメラや動画撮影の機材を扱えるか、操作ができるかという点も実務で必要なスキルです。
尾行や張り込みのスキル
体力と知識が必要で、独学では学べないスキルかもしれません。実務で経験を積んでスキルを磨くと良いでしょう。
上記で紹介したスキルの他、調査報告書の作成に最低限のパソコンスキルや、情報収集能力、法律知識が必要となってきます。
探偵業を開業出来ない人もいる
探偵として独立開業する際には、公安委員会に届出をする必要がありますが、もし無届けで営業すると、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられます。
このような探偵業に関する法律が、「探偵業法」と言いますが、その法律の中に「探偵業を営むことができない者」の記述があります。警視庁ホームページより引用します。
探偵業を営むことができない者(欠格事由)
下記に該当する方は、探偵業を営むことができません。
(1)破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
(2)禁錮以上の刑に処せられ、又は探偵業の業務の適正化に関する法律の規定
に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
(3)最近5年間に探偵業法第15条の規定(営業停止、営業廃止命令)による処分に違反した者
(4)暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)
第2条第6号に規定する暴力団員(以下「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
(5)心身の故障により探偵業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定めるもの
(6)営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が(1)から(5)又は(7)のいずれかに該当するもの
(7)法人でその役員のうちに(1)から(5)までのいずれかに該当する者があるもの
※ 届出後に上記に該当することとなった場合は、営業を廃止しなければなりません。(法第3条)
※ 前記(2)の「執行を終わり」とは、仮釈放を許された者がその残余期間を終了した場合、「執行を受けることがなくなった」場合とは、刑の時効が完成した場合をいいます。
なお、刑の執行猶予の期間を終了した者又は大赦若しくは特赦により刑の言渡しの効力を失うに至った者は、その時点で「刑に処せられ」た者ではなくなり、欠格事由に該当しなくなります。
なお、上記の欠格事由に該当すると探偵業を営むことができないと定められていますが、(7)を見ると役員ではないオーナーや社員については欠格事由には該当しないと判断できます。
まとめ
探偵とはどういう仕事か、そして必要な資格やスキルはどういったものがあるのかをご紹介しました。
テレビで目にする探偵は特別な資質があるように感じ、そうなる為には探偵を養成する学校に通う事や資格取得が必須だと思われがちですが、取得必須の国家資格などもなく、事前のハードルはそれほど高くないように思えて安心しますね。
しかし探偵になってからが、他の技術職や専門職と同様に差がついてくるのではないかと思います。
知識や技術を事前に身につけておくのも探偵というキャリアを重ねる上で選択肢の一つとなります。